インターネットが日常生活に欠かせない現代、ウェブサイトの存在感を高めるSEO(検索エンジン最適化)は、ビジネス成功の鍵と言っても過言ではありません。しかし、その重要性を理解しつつも、具体的な取り組み方がわからない方も多いのではないでしょうか。本記事では、SEOの基本概念から実践方法まで、マーケティング初心者の方にもわかりやすく解説します。
SEOとは何か
「SEO」を実施することで、特定のキーワードやフレーズで検索された際に、ウェブサイトが検索結果に表示される可能性を高めることができ、Webマーケティングにおいては、オンラインプレゼンスを強化してターゲットオーディエンスにリーチするために不可欠な要素と言えるでしょう。
SEOの基本概念
1.検索エンジンの仕組み(簡単な説明)
検索エンジンは、クローラー(またはボット)と呼ばれるプログラムがウェブ全体を巡回してWebページをURL単位で収集し、インデックスを作成します。このインデックスは、検索エンジンがユーザーのクエリに応じて最適な結果を提供するためのデータベースであり、クローラーはウェブページをクロールして中のコンテンツを解析し、ナビゲーションなどサイト内にあるリンクを辿ってWebページを認識し、インデックスに追加していきます。その後アルゴリズムによって、検索クエリに対してどのWebページが最も適切かが決定され、検索結果が返されます。
2.自然検索とは
検索エンジンの検索結果ページ(SERPs=Search Engine Result Pages)に表示される、有料広告を除いた部分のことで、オーガニック検索とも呼ばれます。自然検索の結果は、検索エンジンの独自のアルゴリズムによって、ユーザーの検索意図に最も適していると判断されたページが評価され、表示される順位が決定されます。
例)キーワード「webマーケティング 独学」の検索結果の場合
SEOの主な手法
オンページSEOは、ウェブサイトの内部や各ページに含まれる要素を最適化する手法で、以下の主要な要素があります。
- ユーザーにとって価値のある、質の高いコンテンツを提供する
- 検索クエリに関連した情報を適切に含め
- タイトルタグ:ページの内容を端的に表現し、キーワードを含める
- メタディスクリプション:ページの概要を簡潔に説明し、クリック率を高める
- ヘッダータグ(H1, H2など):適切な構造化を行い、重要なキーワードを含める
- 短く、わかりやすいURLを設定
- 可能であればキーワードを含める
- サイト内の関連ページへ適切にリンクを張る
- ユーザーの回遊性を高め、検索エンジンのクロールを促進する
- alt属性を適切に設定
- ファイル名にキーワードを含める
テクニカルSEOは、ウェブサイトの技術的な側面を最適化する手法です。
- レスポンシブデザインの採用
- モバイルでの表示・操作性の向上
- 画像サイズの最適化によるページ速度の向上
- コードの最適化
- キャッシュの活用
オフページSEOは、ウェブサイトの“外部の要素”を最適化する手法で、以下の2つの要素が含まれます。
- 他の信頼性の高いウェブサイトからのリンクを獲得する
- 質の高い、関連性のあるサイトからのリンクが特に重要
- ソーシャルメディアでの存在感を高める
- コンテンツの共有やエンゲージメントを促進する
ソーシャルシグナルは、間接的にWebサイトの評価に影響を与える要素と言えます。
オフページSEOの成功には、オンページSEOで質の高いコンテンツを作成することを大前提としたうえで、そのコンテンツを拡散するためにオンライン・オフラインの両方の観点で以下のような方法の活用が考えられます。
- 業界関連サイトへの掲載
- ゲスト投稿やインタビュー記事の寄稿
- イベントやセミナーへの参加・登壇
- プレスリリースの配信
- インフルエンサーとの協力
- 地域や業界団体での活動
SEOがWebマーケティングに与える影響
SEOを適切に実施することで、ウェブサイトの検索結果での順位が向上し、より多くのユーザーに見てもらえるようになります。これにより、自然検索結果経由のトラフィックが増加します。
キーワードリサーチを元にターゲットオーディエンスを特定することができ、コンテンツ最適化を通じて、そのターゲットオーディエンスに対して効果的にリーチすることができます。
ユーザーは、検索エンジンで頻繁に見かけるブランドに対して信頼を寄せる傾向があります。より幅広いターゲットキーワードで検索結果の上位に表示されることで、ブランドの認知度が向上します。
SEO実践のための基本ステップ
キーワードリサーチは、SEO戦略の最初のステップです。以下の方法で、効果的なターゲットキーワードを見つけましょう。
- ターゲットキーワードの抽出
自社のWebサイトで発信している情報や取り扱っている商材に関連する検索キーワードを洗い出し、検索数を確認します。そこから、自社で狙いたい・狙うべきキーワードに絞り込んでいきます。
- 競合分析
競合サイトがどのキーワードをターゲットにしているかを分析し、自分のサイトに適したキーワードを見つけます。
キーワードリサーチに便利なツール
- Googleキーワードプランナー
- ミエルカSEO
- ラッコキーワード
- SEMrush
- Ahrefs
など
コンテンツは、SEOの成功における最も重要な要素の一つといっても過言ではありません。以下のポイントに注意して、コンテンツを最適化しましょう。
①ユーザーのニーズに応える
- 検索意図=検索ユーザーが求めている情報を的確に把握する
- 検索ユーザーが求める情報に合ったコンテンツを作成する
②コンテンツの品質と信頼性・権威性の担保
- 情報の信頼性を示す根拠を明示する(例:出典、参照、監修者のプロフィールなどの掲載)
- 専門性が高く、できるだけ詳細な情報を提供する
③オリジナリティ(独自性)の確保
- 他のWebサイトにない独自の視点や情報を盛り込む
- 単なる情報の羅列ではなく、価値ある解釈や分析、考察を加える
④読みやすさと構造化
- 段落分けや箇条書きなどで読みやすく整理する
- 見出しタグ(hxタグ)を適切に使用しする
⑤定期的な更新と改善
- 必要なコンテンツには最新情報を反映させ、鮮度を保つ
- ユーザーの反応を見ながら、継続的に必要な情報を更新・改訂する
トレンドや何らかのアップデートが発生するトピックについて、必要なタイミングで情報の更新ができていればOKです。必要性が低いのにも関わらず、意味なくページの更新をしても意味がないので、情報の更新が必要なトピックかどうかの見極めを適切に行いましょう。
①URL構造の簡潔化
サイト内の情報構造とURL構造が同じになることがベストです。しかしCMSの仕様上、昨今はこの構造を最初から最適化できない場合も多いため、可能な限り、アルファベットや数字で構成されたシンプルでわかりやすいURLにし、検索エンジンがサイト構造を理解しやすい状態にしましょう。複雑なパラメータを含むURLは、検索エンジンは認識することはできるものの、高く推奨はされていません。
日本語URL(例:https://日本語.co.jp、https://sample.co.jp/日本語/、など)にすると検索順位が上がる、という説があります。しかし正確には、日本語URLがWebサイトの順位に影響することはなく、プラスの効果もマイナスの効果もありません。
SEOのバックリンクの観点では、外部サイトやSNSでページのURLが共有された場合、日本語URLはエンコードされた状態の長い表示になってしまい、見た目が美しくないというデメリットがあります。日本語URLは、その必要性をしっかり検討したうえで採用するかどうかを決めたほうがよいでしょう。
日本語URL | エンコードされた状態 |
https://日本語.co.jp | https://%3A%2F%2F%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E.co.jp |
https://sample.co.jp/地域/アジア/日本/日本語ページ | https://%3A%2F%2Fsample.co.jp%2F%E5%9C%B0%E5%9F%9F%2F%E3%82%A2%E3%82%B8%E3%82%A2%2F%E6%97%A5%E6%9C%AC%2F%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8 |
②内部リンクの最適化
関連するページ同士を内部リンクで繋いでサイト内部のリンク構造を最適化することは、ユーザーにとってもコンテンツを発見しやすさを助けると同時に、検索エンジンにもサイト内をクロールしやすくします。また、Webサイトで使用しているCMSの仕様の関係で、情報構造と同じか近しいURL構造にすることが難しい場合は、この内部リンク構造を最適化することで、サイト構造の最適化を助けることがあります。
SEO効果の測定
<主要な指標>
モニタリングツールによって指標の呼び方は異なる場合がありますが、SEOの効果を測定する上で押さえておきたい主な指標は以下の通りです。
- オーガニックトラフィック:自然検索結果からの流入数(訪問数)。
- キーワードの検索順位:ターゲットキーワードの検索結果での順位。
- 流入キーワード:SEO施策の実施前後の、流入獲得キーワードの種類と数。
- クリック率(CTR):順位に連動していることはもちろん、検索結果状に表示される情報がユーザーにとってどの程度魅力的に見えているのかを測定できる指標。
代表的なSEOツールの紹介
上記で上げた指標を測定し、戦略を最適化するためには、以下のようなツールが役立ちます。
- Google Analytics:流入元の検索エンジンを問わず、有料広告やSNSでのパフォーマンスを含め、ウェブサイトのトラフィック、ユーザー行動、コンバージョンを詳細に分析可能。
- Google Search Console:ウェブサイトのGoogle自然検索におけるパフォーマンスの確認が可能。SEOでモニタリングするべき指標のうち、流入キーワードの詳細(順位・クリック率など)を確認することが可能で、検索ページURLのインデックス状況や、クローリングエラーなど、検索パフォーマンスに影響を及ぼす問題もモニタリングできる。サンプリングデータのため、ダッシュボード状で確認できるデータの上限は1,000件が最大。
- DemandSphere:ウェブサイトのGoogleの自然検索検索におけるパフォーマンスの確認が可能。Google Search Consoleが実際に流入しているキーワードのみのデータに限定されるのに対し、ターゲットキーワードとして選定したキーワードの順位をもれなく観測することが可能。検索エンジンとデバイスごとに順位を取得することができ、競合サイトとの順位比較やベンチマークとなる競合の発見も可能。日本以外の国の順位も取得可能で、他言語展開している大型のWebサイト向き。
- Ahrefs:キーワード順位の観測の他、キーワードリサーチ、バックリンク分析、競合分析に優れたツール。
- SEMrush:オールインワンのSEOツールで、キーワードリサーチ、サイト監査、ランクトラッキングが可能。
まとめ
SEOは、ウェブサイトの成功に不可欠な要素であり、継続的な取り組みが必要です。実施する前には必ず、以下のポイントを再確認してから取り組むのがよいでしょう。
- 継続的な取り組みの重要性:SEOは一度設定すれば終わりではなく、検索アルゴリズムの変更や競合の動向に応じて常に最適化が必要です。
- ユーザーに価値を提供する:検索エンジンではなく、あくまで「ユーザー」に軸を置き、ユーザーにとって高品質で有益なコンテンツと優れたユーザーエクスペリエンスを提供することを意識しましょう。ユーザー目線で価値ある情報を提供することができれば、検索エンジンにも自然と評価されます。
- 総合的なマーケティング戦略の一環としてのSEO:SEOは他のマーケティング戦略と連携することで、より大きな効果を発揮します。コンテンツマーケティングやソーシャルメディアマーケティングとのシナジーを活用しましょう。