マーケティング戦略に「心理学」の力を!マーケティング心理学の理論と実践

マーケティングにおいて、消費者の心理や行動原理を理解することは極めて重要です。マーケティング心理学はこうした消費者の心理的メカニズムを科学的に解明し、マーケティング活動に活かす学問分野です。本記事では、マーケティング心理学の概要と、具体的な理論、企業における活用事例について解説します。

マーケティング心理学は、消費者に支持される製品・サービスを生み出し、ブランド構築やプロモーション施策を的確に行うためになくてはならない知見を提供します。消費者インサイトに基づいたマーケティング戦略の立案が可能になる点で、極めて重要な役割を担っています。

目次

マーケティング心理学の理論と応用

マーケティング心理学の主要な理論と、実際のマーケティングへの応用例をご紹介しましょう。

消費者行動理論

マーケティング心理学の中核をなすのが、消費者行動理論です。代表的な理論に以下のようなものがあります。

意思決定プロセ

消費者が製品やサービスを購入するまでの一連のプロセスを、複数のステップに分けて分析するモデルです。主な段階は、問題認識 → 情報収集 → 選択肢の評価 → 購買 → 購買後評価となっています。各段階での消費者心理を理解することが重要視されています。

購買タイプ

消費者の購買態度や関与の程度によって、購買タイプを複数に分類するモデルです。高関与・低関与、習慣購買・新規購買など、それぞれに異なるアプローチが求められます。消費者のタイプを正しく把握することが、効果的なマーケティングにつながります。

マーケティングへの応用

消費者行動理論などのマーケティング心理学の知見は、実際のマーケティング活動に幅広く応用されています。

製品開発

消費者ニーズを的確に捉え、付加価値の高い新製品を生み出すためには、心理学的なアプローチが不可欠です。消費者の本音や潜在ニーズを引き出し、ブレイクスルーとなる製品コンセプトにつなげていきます。

ブランディング

ブランドのパーソナリティや想起すべきイメージを設計する際、心理学の理論が役立ちます。消費者がブランドにどのような心象を抱くか、どのようなブランド体験が印象に残るかなどを分析し、ブランド構築に活かします。

プロモーション

広告やSNSなどのプロモーション活動で、効果的な訴求を行うためにも心理学は重要です。視覚的な印象、メッセージの受け止め方、人々の行動を促すきっかけなど、心理的側面を考慮する必要があります。


このようにマーケティング心理学は、様々な局面で役立つ理論と実践的な知見を提供してくれます。

マーケティング心理学の応用事例 

マーケティング心理学の理論は、多くの企業によって実際のマーケティング活動に取り入れられています。日本の有名企業や業界別の事例を見ていきましょう。

1.日本の有名企業の事例
1-2.ライオン(日用品)のマーケティング心理学

ライオンは、トップブランド製品が多数ある日用品メーカーです。同社のマーケティングでは、心理学の理論が様々な側面で活用されています。

例えば、ハイター(ブランド浸透力の高さを示す顕在化理論が応用)、キッチンクリーナーマジックリン(キャラクター認知における単純線画理論も採用)などのネーミングには、消費者心理が反映されています。商品の使用場面ごとにきめ細かく分析を行い、製品開発やプロモーションにも心理学の知見を落とし込んでいます。

1-3.伊藤園(健康食品)のマーケティング心理学

伊藤園は、健康意識の高まりとともに需要が拡大している飲料や食品など、幅広い分野でマーケティング心理学の理論を取り入れています。

主力のお茶飲料では、ラベルやパッケージデザインにセルフ概念(健康的なイメージを持つ消費者ニーズに合わせる)などの心理学が活かされています。新製品では、カイゼンシアとして人体実験の結果から新たに発見された機能性を製品化するなど、消費者の潜在ニーズを先取りしています。

2.業界別の事例
2-1.小売業界

ユニクロやイオンなど、接客を伴う小売業界では、消費者の五感に訴えかけることが大切です。店内の什器レイアウトや照明、音楽、香りなど、買い物を心地よい経験にするための工夫が重要視されています。心理学の知見は店舗運営に活かされています。

2-2.食品業界

食品業界でも、消費者の嗜好性や香りへの反応、パッケージデザインの見た目による影響など、五感をベースとした製品開発が行われています。

美味しさや香りへの心理的な期待値を高めるための工夫は、業界全体に広がっています。

2-3.自動車業界

自動車購入は大きな買い物であり、消費者の関与度が高い分野です。自動車メーカーは運転性能だけでなく、オーナーの自尊心や所有欲をくすぐるような心理的アプローチを重視しています。

車種ごとの適正価格の設定にも消費者心理の考え方が反映されています。


日用品、食品、小売り、自動車など、業界を問わず、マーケティング心理学の知見が様々な製品やサービス、ブランディング、プロモーション施策に活かされていることがわかります。消費者心理を理解し、その本質的なニーズに応えることが、成功するマーケティングの鍵となっています。

まとめ

本記事でご紹介したように、マーケティング心理学はマーケティングのあらゆる局面で役立つ理論と実践的な知見を提供します。消費者の深層心理を理解し、ニーズを先取りした付加価値の高い製品を生み出したり、ブランドとの心理的な結びつきを高めたり、プロモーションで行動喚起を促したりと、消費者志向のマーケティングを実現できます。

マーケティング心理学の理論や分析手法を効果的に活用することで、的確な消費者インサイトが得られ、競争力のある製品・サービスやブランディング、プロモーションが可能になります。マーケティングの成否は、消費者心理の深い理解にかかっているのです。先進企業はその重要性を認識し、積極的に活用しています。消費者ニーズが多様化する中で、マーケティング心理学の役割はますます高まるでしょう。

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この記事を書いた人

D's Marketing Boot Campの管理人です。
未経験から日本の最前線で戦えるマーケターを育成しています。
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