カスタマージャーニーを理解する:マーケティング成功への不可欠な要素

「カスタマージャーニー*」とは、顧客が製品やサービスに出会ってから購入、さらにはロイヤルカスタマーになるまでの一連の過程を指します。つまり、顧客との接点の全てが顧客体験を左右すると言えます。
*以降、「」なしの表記に統一

近年、デジタル化の進展と共にカスタマージャーニーは大きく進化しています。かつては企業が一方的に顧客にメッセージを発信するのが一般的でしたが、今日では顧客自身がSNSやレビューサイトなどを通じて企業への影響力を持つようになりました。こうした変化に対応するには、カスタマージャーニーを詳細に把握し、最適化することが不可欠となっています。

目次

カスタマージャーニーの基本概念

カスタマージャーニーとは、顧客が製品やサービスの存在に気づいてから購入し、最終的にロイヤルカスタマーになるまでの体験の流れを指します。一般的には以下の4つの主要ステージで構成されます。

①認識(Awareness)

初めて製品やサービスを知る段階です。顧客が製品やサービスの存在を初めて知る段階です。広告、口コミ、ウェブ検索、ソーシャルメディア、イベントなどを通じて認知が生まれます。

②検討(Consideration)

製品やサービスの購入を決定し、実際に購入行動を行う段階です。このプロセスには、選択、注文、支払い、受け取りが含まれます。

④使用(Retention)

顧客が製品を使い続ける段階で、この間にサポートやカスタマーサービスが重要となります。良好な使用体験は、顧客の満足度と忠誠心を高めます。

⑤提唱(Advocacy)

顧客が製品やサービスに対して非常に満足し、自らの意志で他人に推薦する段階です。積極的な口コミやソーシャルメディアでの好評が見られます。

各ステージでは異なる顧客ニーズが存在し、適切なコミュニケーションと体験の提供が求められます。電子機器の購入を例にとると、認知段階では製品情報の提供、検討段階では比較サイトの活用、購入段階では配送の簡便さ、使用・提唱段階では優良顧客向けプログラムの提供など、各段階で異なる施策が効果的です。製品やサービスに満足し、継続的に購入・利用をするようになると、その顧客はロイヤルカスタマーとなります。

用語解説:ロイヤルカスタマー
あるブランドや企業に対して高い忠誠心を持ち、継続的にその製品やサービスを利用する顧客のことを指します。これらの顧客は、リピーターとして定期的に購入を行うだけでなく、口コミで他の潜在顧客に対してもポジティブな影響を与えることが多いです。また、ロイヤルカスタマーは新しい商品やサービスにも積極的に反応し、ブランドの信頼性や市場における地位を高める重要な役割を果たします。

カスタマージャーニーマップの作成方法

カスタマージャーニーを正しく把握し最適化するためには、カスタマージャーニーマップの作成が有効な手段の一つです。以下がその手順です。

STEP1:顧客のペルソナを定義する

対象とする顧客層の人口統計、行動特性、ゴール、ペインポイントなどをペルソナとしてまとめます。

STEP2:カスタマージャーニーの各ステージを特定する

上記ペルソナが体験する、認知、検討、購入、ロイヤルティの各ステージを洗い出します。

STEP3:各ステージでの顧客接点をマッピングする

各ステージで顧客が企業や製品と接点を持つ全てのチャネルやタッチポイントを特定します(広告、Web、SNSなど)。

STEP4:各タッチポイントでの顧客の行動をマッピングする

タッチポイント毎に顧客がどのような行動をとるかを記述します。望ましい行動と懸念点の両面を洗い出します。

STEP5:データから課題を特定する

顧客行動データやフィードバックを用いて、どのステージやタッチポイントに課題があるかを特定します。

STEP6:改善施策を立案する

特定した課題に対し、具体的な改善施策を立案します。

カスタマージャーニーマッピングにはスプレッドシート、専用ツール、顧客インタビューデータなどを活用できます。顧客の行動データとフィードバックを継続的に組み込むことが重要です。

事例研究

カスタマージャーニーの最適化は、企業が市場での競争力を維持し、顧客との深い関係を築くための鍵です。その良い事例と言えるのがスターバックスでしょう。スターバックスはカスタマージャーニーの活用で大きな成果を上げています。スターバックスの成功事例を通じて、カスタマージャーニーの各段階がどのように連携し合い、全体のブランド戦略を支えているかを詳しく見ていきましょう。

スターバックスはコーヒーの販売だけでなく、”サードプレイス(第三の場所)”というコンセプトの元に、仕事や家庭でもない非日常的な空間体験という価値を顧客に提供しています。そのため、カスタマージャーニーの把握は彼らのマーケティング戦略において非常に重要です。

スターバックスは、まずは「認知段階」で親しみやすいブランドイメージを確立しています。SNSでのコンテンツマーケティング、店舗の朝の行列の演出などでブランドの認知を高めることに成功しています。

次の「検討段階」では、スターバックスアプリを活用しています。スターバックスアプリは、店舗メニューとカスタマイズ機能を提供しており、事前の検討を促す役割を果たしています。

「購入段階」で、アプリとリワードプログラムの連動によるシームレス決済を実現し、「使用段階」では、”スターバックスリワード”を通じて顧客を長期的に惹きつけることに成功しています。

こうしたカスタマージャーニー最適化への注力により、顧客離れを防ぎながら、Starbucksは3年間で120億円の顧客渉外費削減に成功しました。

カスタマージャーニーの最適化のための戦略

カスタマージャーニーの最適化のためには、様々な戦略とツールの活用が不可欠です。

A/Bテスト

Webサイト、アプリ、メール配信などにおいて、コンテンツやUIの違いによる顧客行動のデータを収集し、より良いバリエーションを特定します。

行動データ分析&カスタマイズ

位置情報、閲覧履歴、行動データなどを収集・分析し、顧客に合わせたコンテンツの最適化を行います。

オムニチャネル化

企業と顧客の全てのタッチポイントをつなぐことで、シームレスな顧客体験を提供できます。

NPS(顧客満足度指標)の活用

顧客の満足度を客観的に測ることで、課題の特定と改善が可能になります。

カスタマージャーニー分析ツール

各種データを統合し、顧客行動の可視化やパターン分析を行うツールが多数提供されています。

まとめ

カスタマージャーニーを理解し最適化することは、顧客体験を大幅に向上させ、企業の成長につながります。適切なタッチポイントでの施策により、認知からロイヤルティ獲得まで顧客を効果的に誘導できるからです。

デジタルツールを活用して継続的に分析・改善を重ねることで、カスタマージャーニーは徐々に最適化できます。そのためには、顧客データの収集と活用、A/Bテストの実施、マップの定期的な見直しが欠かせません。顧客目線でカスタマージャーニーを捉え直し、タッチポイント毎の課題を特定、改善することで、売上やロイヤルティ向上につながるはずです。

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この記事を書いた人

D's Marketing Boot Campの管理人です。
未経験から日本の最前線で戦えるマーケターを育成しています。
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